montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

キング・クリムゾン 暗黒の世界 (2015―11掲載)

f:id:montana_sf16:20230329201226j:image f:id:montana_sf16:20230329201310j:image💿️Starless And Bible Black | Full Album - YouTube

「暗黒の世界」は収録全8曲中6曲がライブ音源で構成されています。キング・クリムゾンは熱狂的なファンが多いだけに、ライブ録音の発掘リリースが続いていて、このアルバムに収録された楽曲の元になったライブ録音も完全盤がリリースされています。しかし、このアルバムに収録された楽曲はライブとは言え、スタジオでしっかり処理されていて、ライブそのものとは趣を異にするようです。残念ながら自分は完全盤を聴いたことがないので偉そうなことは言えませんが。。😓 さて、そのライブですが、大変残念なことに、即興の王様ジェイミー・ミューアはいません。彼は仏教に専念するためにバンドを抜けてしまいました。特にミューアの後任探しは行われておらず、結果として、4人組キング・クリムゾンのライブになりました。この頃のクリムゾンのライブですから、当然即興性がかなり重視されています。そうなるとインストゥルメンタル重視になります。ボーカル曲3曲のうち、2曲はスタジオ録音ですし、もう1曲もライブ録音とスタジオ録音をつなぎ合わせたものだそうです。クリムゾンの即興演奏はユニークです。たとえばジェイミー・ミューアが係わっていたカンパニーを典型とするフリー・ミュージックやノイズによるエクストリーム・ミュージックのようなジャンルレスな音ではなく、しっかりとロックになっています。しかし、ロックやブルースなどの一定のリズムを刻むリズム隊に支えられた即興演奏というわけではありません。何らかのきっかけを与えられて即興が行われていくのでしょうが、その枠組みがよく分からない。そんな即興演奏です。各ミュージシャンの位相がよく分からないという不思議な即興演奏な気がします。

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f:id:montana_sf16:20230329235523j:imageKing Crimson - The Great Deceiver (Single Edit) [50th Anniversary | (Previously Unreleased)] - YouTube

実際にはどこまでがあらかじめ決まっているのか全く知らないのですが、彼らの演奏する曲全体の企みというものがとても不思議です。熱い魂の交流のようなものが感じられないクールな手触りの演奏なので、そもそも即興演奏と相性が悪い類の音楽のはずです。こういうバンドは他にはありませんから、簡単に近寄れる領域ではないのでしょう。そんなクリムゾンらしさが最もよく表れている作品がこのアルバムです。そして、唯一の色物となったデヴィッド・クロスがヴァイオリンとヴィオラで頑張って参加していますが、こうした緊張に耐えきれず、このアルバム発表後には脱退してしまいます。クロスも頑張っているのですが、やはり楽器の限界というものもあります。ヴァイオリンでは分が悪い。しかし、そうなるとジェイミー・ミューアが恋しいです。彼がいてくれたら、もっとカラフルな展開があったのではないかと思います。ホントに残念です。😥 ところで、まだ随所に「クリムゾン・キングの宮殿」的なサウンドが見え隠れします。特に各楽曲のエンディングの締めくくりに現れます。フリップのお気に入りなのでしょうが、デビュー作からのリスナーは ほっと一息つくことができます。

Starless And Bible Black / King Crimson (1974 Island)