montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

エイジア アルファ (2012―2)

f:id:montana_sf16:20230612100320j:image f:id:montana_sf16:20240131222256j:image  f:id:montana_sf16:20220613044124j:image🎦Alpha - YouTube

ジャケットにはピラミッドに目が書かれています。こちらは目が二つついているものの、やはりどうしても1米ドル紙幣を思い出します。お札の方は秘密結社フリーメーソンのシンボルだという話ですね。何にしても怪しいことこの上ありません。アメリカを強く意識した作品なのでしょう。これは英国のプログレには欠かせない画家ロジャー・ディーンの絵ですが、彼の作品にしては妙に明るい色調です。前作がウルトラ・ヒットとなったことを意識して、明るい色調にしたのではないかと思われます。音楽自体もそんな感じですからね。このアルバムも普通にヒットしましたが、何せ前作が特大ヒットでしたから、メンバーの失望は大きかったようです。全米6位、日本でもオリコン4位、米国ではミリオン・セラーになっていますから、普通なら大喜びのはずなんですが、人間どうしてもベクトルの向きを気にしてしまいます。エイジアは各メンバーが超有名バンド出身者からなるバンドですが、元のバンドも彼らのデビュー作のような大ヒットを飛ばしたことはありませんし、もともと彼らは元のバンドでも地味なメンバーでしたから、あんな大ヒットになって困っちゃったんではないかと推察されます。その結果、このアルバムは産業ロック呼ばわりされることになりました。産業ロックとは、一言で言えば商業的成功を第一義に考えた、魂を売ったロックということです。

f:id:montana_sf16:20230612100357j:image f:id:montana_sf16:20230612102233j:image f:id:montana_sf16:20230612101901j:image f:id:montana_sf16:20230612102247j:image🎦Asia - Don't Cry (Official Music Video) - YouTube

🎦Asia - The Smile Has Left Your Eyes (Official Music Video) - YouTube

自分はエイジアの各メンバーがそんなことを思っていたとは微塵にも思いませんし、魂が入っていないという気もありませんが、前作を超えるものを作ろうとした時に、前作で成功したと思われる路線を進める形で超えて行こうとしたら、結果こうなったということだろうと思います。今作では、全曲をベースとボーカルのジョン・ウェットンとキーボードのジェフリー・ダウンズが書いています。ほかのメンバーも曲を書きましたが、方向性が違うということで採用されなかったそうです。加えて、前作に比べると、各楽器のソロ・パートが短くなり、ほとんど目立たなくなりました。彼らの目指した方向が最大限に表れているのが、ビデオにある曲「嘘りの微笑み」です。邦題、ひどいですね。漢和辞典を引いても読めません。当て字にもほどがある。それはともかく、この曲はいい曲です。完熟の味です。このまま感動に酔っていようか、くさすぎると言い切ってしまおうか、悩ましい曲ですね。結局、無理がたたって、この方向性を主導したジョン・ウェットンはアル中になったという理由で脱退し、その後、復帰しますが、今度はギターのスティーブ・ハウが脱退、バンドは今も続いていますが往時の勢いを取り戻すことはありませんでした。というわけで何とも変なアルバムですが、それなりに楽しめるアルバムでもあります。プログレ色は全くなく、達者なミュージシャンたちによるポップなロックが全面に展開されています。私としては、やはりギター馬鹿のスティーブ・ハウの縦横無尽なギターがなっているだけで十分楽しいです。彼はどんな場面でもギターのことしか考えていない。伸びやかな演奏はいつ聴いても素晴らしいです。

Alpha / Asia (1983)