montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ジョン・レノン ロックン・ロール (2017―8)

f:id:montana_sf16:20230727140307j:image💿️Rock 'N' Roll - YouTube

スタンド・バイ・ミー」が入っているアルバムです。というのが一番紹介しやすいです。ジョン・レノンが1950年代から60年代初めにヒットしたロックン・ロールの楽曲を演奏したカバー・アルバムからは「スタンド・バイ・ミー」が大ヒットしました。「スタンド・バイ・ミー」はソウル歌手ベン・E・キングがオリジナルですけど、もはやジョン・レノンの歌うこのバージョンの方が知名度は高いと思われます。ビートルズが初期にカバーした楽曲群と同じような運命です。もともとジョンとプロデューサーのフィル・スペクターはロックン・ロールのカバー・アルバムを作る企画を温めていたようです。今でこそカバー・アルバムは当たり前になりましたが、オリジナル至上の70年代当時ですから、息抜きないしはお遊び的な企画だったのかもしれません。しかも、この頃は失われた週末真っ只中。原点回帰をしたくなる状況だったわけですから、魂振りの意味合いは濃かったことでしょう。ジャケットはデビュー前のハンブルク時代の写真です。デッカのオーディションを受けた時の演奏も念頭にあったようですし、まさに原点回帰。本作にはさらに複雑な事情が絡んでいます。ビートルズの「カム・トゥゲザー」がチャック・ベリーの盗作だと訴えられ、示談の条件として版権者の管理楽曲を録音することとなりました。その条件をこのアルバムで満たしたわけです。盗作とされた原曲は「ユー・キャント・キャッチ・ミー」で、ご丁寧にジョンはここでカバーしています。~続⤵️

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f:id:montana_sf16:20230727143658j:image🎦STAND BY ME. (Ultimate Mix, 2020) - John Lennon (official music video HD) - YouTube

素直に聴くと、なるほど盗作と言われてもしょうがないほど似ています。しかし、これもジョンの皮肉。極力「カム・トゥゲザー」に似るようにわざと演奏しています。さらにフィル・スペクターが途中でマスター・テープを持って失踪してしまうという、何度考えても意味の分からない事件を起こします。アルコールなどで錯乱していたとしか言いようがないです。そのためにセッションは1年ほど中断しています。も一つおまけに完成盤はジョンの承諾を得る前に件の版権者が勝手に発売してしまっています。結果的に「あの”SGT.PEPPR”より長くかかったアルバム」になりました。こんなにシンプルな企画なのに大変な遠回りをしてきました。レコーディングに参加したミュージシャンのクレジットはありませんが、「心の壁、愛の橋」参加のミュージシャンの他に、ホセ・フェリシアーノ、スティーヴ・クロッパー、レオン・ラッセルなど有名どころが集まっていた模様です。ジョン・レノンがロックン・ロールを歌う。ビートルズの初期を思えば当たり前ですけど、これまでのソロ作品に親しんでいると、ちょっと驚いてしまう部分があります。つまり聴いているこちらも原点回帰をしていることに気が付きます。ジョンはいろいろなパワーアップ・スーツを着ているので、実は不世出のロックン・ロール・ボーカリストだったという事実をみんな忘れてしまっていました。本作を聴いていると、ジョンのコアな部分の魅力を再発見することができます。

Rock 'N' Roll / John Lennon (1975 Apple)