🎦Yes Relayer Live Full Album 1975 Concert - YouTube
プログレ・ファンというのは意外なところにいるものです。さだまさしさんなんかもプログレ・ファンだと聞いて驚いたものです。チェッカーズのリーダーだった武内亨は、イエスのこのアルバムが大好きだと話していて、意外に思ったことを覚えています。この作品はイエス・ファンの間でも賛否の分かれる作品です。何と言っても当時イエスの顔だったリック・ウェイクマンが居ません。彼はこの作品制作直前に脱退してしまいました。ソロであれだけ成功していればそれも分からないではありません。代わりのメンバーとして白羽の矢が立ったのがヴァンゲリスだと言いますから面白いです。普通に考えるとまるで作風が違いますから、イエスのみんなは何を考えていたのやら。一応一緒にやってみたそうですが、結局、スイス出身のパトリック・モラーツに決まりました。パトリックはキース・エマーソンのナイスのメンバーと一緒にレフュジーというバンドを結成していた人です。キース・エマーソン、リック・ウェイクマンという英国プログレ二大キーボード奏者の後釜に選ばれたという面白い人です。ロジャー・ディーンの手になるジャケットがまた素晴らしいですね。これまでとは色調が異なり、今回は白が基調です。この色調の変化はサウンドの変化にも対応しています。ロジャーとイエスの息の合ったところがよく分かります。超大作だった前作とは異なり、今回は「危機」と同じ構成となっています。すなわちA面全部を占める大作「錯乱の扉」と、B面はやや長めながらコンパクトな2曲という構成です。
「錯乱の扉」の後半部の静かなパートは「スーン」というタイトルでシングル・カットもされています。前作のようなスピリチュアルなテーマではありませんが、この作品のテーマは「戦争と平和」だということです。ジャケットには騎士の姿が描かれており、裏ジャケに描かれている大蛇を退治しに行くところのようです。ヤマタノオロチに近いですね。現実的なテーマではありますが、例によってサウンドからはあまりその辺のことが分かりません。やっぱり彼らは肉体派です。新しく加入したパトリック・モラーツは、ジャズないしフュージョン的な空気をもたらしていて、肉体派の動向に掉さしています。パトリックのプレイは、どこまでもアテンションを要求するリックとは違って、ソロ・パートも多い割にはよりアンサンブルに溶け込んでいます。スティーヴ・ハウのギターとも相性がいいですし、はたから見ているとベストな布陣のように思います。個人的には「錯乱の扉」の緊張感溢れる前半部と抒情的な後半部とのバランスが好きです。パトリックが主導していると思われる「サウンド・チェイサー」などはイエスの新たな側面です。イギリスやアメリカではトップ10ヒットとなっていますが、日本では奮いませんでした。クラシック風味溢れるリック・ウェイクマンの脱退は日本では受け入れられなかったようです。ま、仕方ないですネ。当時、イエスは終わったと言われてましたから。。🤔
Relayer / Yes (1974 Atlantic)