💿️Mr Fingers - Amnesia (3xLP) - YouTube
青い空に白い雲。気持ちの良いジャケットですが、ちょっと雲の形が不自然な気がします。このアルバムが発表された頃には、雲の画像を作り出すソフトウェアの開発が競われていましたので、これも写真じゃなくてソフトかもしれません。本日の一枚は、ハウス・ミュージックのクラシック、ミスター・フィンガーズの「アムネジア」です。ハウス・クラシックスのコンピ盤には必ず含まれる名曲中の名曲「キャン・ユー・フィール・イット」を含むアルバムです。この作品は、ハウスの教科書です。正確にいえばディープ・ハウスの教科書です。自分などはまだまだハウスやテクノの区別がつきにくいのですが、冒頭を飾る「キャン・ユー・フィール・イット」という曲がディープ・ハウスと呼ばれる音楽であるということは確からしいですから、ここは安心ポイントです。ただ、日本版の帯には、アシッド・ハウスと書いてあって、やや不安にもなります。ここはディープ・ハウスということにさせてください。二曲目の「ウォッシング・マシーン」はビロビロした音が入っているので、一般にアシッド・ハウスと呼ばれているということです。ということで安心しましょう。ミスター・フィンガーズは、数多くの名義で作品を発表しているシカゴ生まれのラリー・ハードの名義の一つです。彼はシカゴで始まったハウス・ミュージックの最重要人物の一人とされています。数多くのアーティストのプロデュースを手掛け、今でも現役で活躍中です。その彼の名前を一躍世界に轟かせたのが、「キャン・ユー・フィール・イット」でした。このアルバムに収められているのは、インストゥルメンタル・バージョンですが、マーティン・ルーサー・キング牧師の有名な「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」演説をかぶせたものや、ボーカルが入ったヴァージョンもあります。
🎦Mr Fingers - Can You Feel It - YouTube
🎦Mr Fingers - Can You Feel It (Martin Luther King Jr Mix) - YouTube
ハウスは基本的には１２インチ・シングル単位で動いていましたから、あまりアルバム単位で作品を発表することはありません。このＬＰはイギリスのレコード会社が勝手に曲を集めて発売したらしいです。それにしては、統一感もある傑作ですが。全曲インストゥルメンタルで、そこはとても潔いです。生楽器を使っている形跡はなく、全編これコンピューターです。初期のハウスらしく、とてもシンプルです。曲として完成しているというよりも、さあこれをどう料理しようかと思ってしまうような素材感があります。何かを足して完成する、いわば参加する音楽です。それはおそらく踊るということなんでしょうが、そうではなくても、歩くとか食べるとか、もちろん歌うということでもよいのでしょう。そういう意味では、家の中で聴くよりも、電車の中で聴いた方が気持ちよく聴けます。ラリー・ハードは、非人間的なハウスをソウルフルな音楽に戻したと言われることもあります。そう言われてみればそうなのかもしれません。幾分ゆったりしたビートで紡がれるシンプルなメロディーにはソウルがこもっています。何といいますか、とても気持ちのいい音楽です。今や歴史的な価値が高い作品ですが、今聴いても気持ちいいものは気持ちいい。飽きの来ない作品です。
※参考：今こそ聴くべき！ 伝説のDJラリー・レヴァンの超レアミックス音源を発掘！ – FLOOR
🎦Larry Heard a.k.a. Mr. Fingers "Can You Feel It?" ( with lyrics ) - YouTube
