montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

エスペランサ ラジオ・ミュージック・ソサイエティ (2012-3)

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🎦ラジオ・ミュージック・ソサイエティ - YouTube

🎦Black Gold by Esperanza Spalding [OFFICIAL] - YouTube

エスペラント語という言語があります。これは世界共通語として考案されたもので、私たちの幼い頃には本当に世界共通語になるか。とも言われていたそうです。ま、残念ながらそうなる見込みもなさそうですが、" 志 "自体は尊いものがあります。エスペランサはそれとは何の関係もないのですが、彼女の音楽は世界共通語になる要素を多分に持っています。まず、アフリカン・アメリカンの父親とヒスパニック・ウェールズネイティブ・アメリカンな母親を持つ血筋というところで、かなり広がります。「バークレー音楽大学で最年少講師となった」と言われるとクラシック系の人も一目置くでしょうし、大物ジャズ・ミュージシャンとの共演で、ジャズ・ファンの心も騒がされるでしょう。ジャスティン・ビーバーを抑えてグラミー賞最優秀新人賞を受賞したと聞けば、普段それほど熱心に音楽を聴かない人も、「まあ聴いてみるか」ということになりそうです。また、ヒップホップ界の有名人Qティップスがドラムの音作りに関わってますからクラブ系の人も見逃せません。各方面に引っ掛かりがあって、幅広く世界に受け入れられる素地があるものと思います。彼女はアメリカのマルチなミュージシャンで、本業はベース奏者。このアルバムではボーカルにも力を入れています。まだ20代の若さでトップ・ミュージシャンです。このアルバムは前作が「ストリングス/アコースティック/内向的」な室内楽のような音楽だったのに対し、「ホーン/エレクトリック/外向的」なラジオ・ミュージックとなっています。前作がインスト、今作が歌を念頭に書いたということで、同時期に書かれた曲を割り振ったということです。また、彼女についての記事を読んだところ、こんなことを語っています。⇒「観客の心を掴む歌手になる、ということは本当に大変なことで、そのためには感情をどう表現するかという責任をもつこと、詩やメロディへの理解が必要だと思った。それが優れたベーシスト/バンドリーダーを目指すきっかけになった」さらには、これほどまでのルックスにもかかわらず、スポルディングは女性としての魅力ではなく自身のミュージシャンシップを評価してほしいと強く望んでおり、女性ミュージシャンは女性であることを重視した活動を過度に行わないような責任を持つべきだとの考えを表明しています。また女性ミュージシャンとカテゴライズされるだけでなく、特定の音楽ジャンルにカテゴライズされることも嫌っているようです。つまりエンタメ的と言うか、商業主義的な立場からは「なんと勿体ない」と言うことになりそうです。

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f:id:montana_sf16:20220418021450j:image f:id:montana_sf16:20231018102809j:image f:id:montana_sf16:20220418021516j:image🎦Esperanza Spalding performing "On The Sunny Side Of The Street" (2016) - YouTube

🎦Esperanza Spalding: "Overjoyed" - YouTube

彼女は一般にはジャズと言われていますが、そういう事ですから、多分にジャズからアプローチするポップ・ミュージックという様相を呈しています。ラジオから流れてくるジャズっぽいポップスがコンセプトでしょうか。彼女はこれまでアコースティック・ベースを弾くことが多かったようですが、ここでは電気ベースを弾いていますし、これまで以上に歌いまくっています。基本的にジャズのバンドで、曲によってはビッグ・バンドになっています。キャッチーな曲も多く、シンプルな曲を目指しているようではありますが、どの曲もそんなに単純な構成ではありません。彼女のインタビューを見てみますと、彼女が曲を書くと「なんだってこんなによけいな音がくっついているんだ」と言われるということです。雑多な要素がくっついているのですが、「なにかが余計なんだけど、自分でそれを省くことができないの」ということで、共演しているドラムのテリ・リン・キャリントンが整理する。そんな過程を経てアルバムが出来上がったそうです。個人的には、最初はとても気持ちのいい曲ばかりで、引っかかるものが乏しいと思いました。しかし、これは飽きない。何回聴いても新鮮な発見があります。ボーカルも可愛らしい声で大丈夫かな?🤔、と一瞬思いましたが、聴けば聴くほどうまいです。現代的な、実に現代的なジャズというかポップスというか、実に練られたしなやかな音楽が飛び出してきます。聴いていると幸せになれる音楽だと思いますが、どうでしょう。

Radio Music Society / Esperanza Spalding (2012)