montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ビリー・ジョエル ソングス・イン・ジ・アティック(2018―4)

f:id:montana_sf16:20240124160744j:image💿️Billy Joel - Songs in the Attic - Full Album - YouTube

ビリー・ジョエルの音楽活動は「ストレンジャー」前と「ストレンジャー」後に分けられます。紀元前と紀元後のようなものです。下積み期とスーパースター期です。ビリーには紀元前の自分に落とし前をつけることが必要でした。余談ですが、自分が初めて音楽誌上でビリー・ジョエルの名前を知ったのはまさしくその下積み時代でした。流行っていたストリーキングなる奇矯な行動にコメントを求められ、「そりゃ有名になれるんなら裸にでもなりますよ。でもそんなことしたってレコードが売れるわけじゃないし」。かなりイジケていましたネ。そんな状況でも年に9か月ものコンサートツアーを行い、レコードも4枚も出しているのですから大したものです。しかし、彼には当時の作品も紀元後の作品に劣らず良質だったことを世間に認めさせることが必要でした。ビリー初のライブ・アルバムが構想された時、彼が採用したのは初期4作品からの楽曲で埋め尽くすことでした。「このアルバムは昔の恋人との再会みたいなものさ。ここに収められている曲は、いまのバンドでもう一度プレイしたいとずっと思っていたんだ」。ビリーは、紀元前4作品について「曲自体は良いのだけど、オリジナルのスタジオ録音にはライヴに感じられるようなエネルギーや楽しさが感じられない」と総括しています。そもそもなぜかツアー・バンドではなくスタジオ・ミュージシャンを使った作品でした。~続⤵️

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 f:id:montana_sf16:20240124171022j:image f:id:montana_sf16:20240124171031j:image🎦Billy Joel - Say Goodbye to Hollywood (Live at Sparks, 1981) - YouTube

フィル・ラモーンがプロデューサーとなって事態は解消されたのですが、それを紀元前にまで及ぼそうという試みです。その上、実際にライブとすることで、活気をそのまま取り入れていますから、ビリーにとってもバンドにとっても満足のいく結果になりました。スタジオと変わらないからという理由で最大のヒット曲だった「ピアノ・マン」は収録されていませんが、それ以外は4作品から代表曲が収録されています。自分はもちろんシングル・カットして大ヒットとなった「さよならハリウッド」が好きです。ビリー・ジョエルらしい曲です。ゲストも交えず、ツアー・バンドの面々だけをバックに繰り広げられる演奏は、2万人の会場から300席のクラブまでさまざまな会場で録音されていますが、そんなことはまるで感じさせない充実ぶりです。タイトで結構ラウドなロックン・ロールが飛び出してきます。ビリー自身は紀元前ツアーの最中に、「ビーチ・ボーイズ、J・ガイルズ・バンド、イエスイーグルスドゥービー・ブラザーズ」などの前座を務める中で、「僕達は素晴らしいライヴ・バンドという地位と名声を確立してきたのだ」と語っています。こんな面々と渡り合おうというのですから、かなり気合を入れないと辛いでしょう。バラード勝負とはいかないですから、しっかりとある程度ラウドなロック・バンドとして勝負することも必然ですし、根っからこういうスタイルが好きなんでしょう。「素顔のままで」が特異点でした。「僕たちバンドが、当時コンサートに来てくれた人たちと厳しいステージの試練のなかで築き上げたお互いの信頼を再び確認しながら」。当時を支えてくれたファンへの感謝の気持が溢れています。ほのぼのしていていいですね。ビリーの人柄が偲ばれます。

Songs In The Attic / Billy Joel (1981 Columbia)