montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ロギンス&メッシーナ シッティン・イン (2011―5)

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一見したところ、ジャケットはサウンドのイメージとはかなり異なったアル・カポネのシカゴ暗黒街を想起させますが、開拓期の大西部、西部劇の世界がにおわないではありません。おそらくアメリカ人の心の奥底にはこうした光景が焼き付いているのでしょう。これがロギンス&メッシーナのデビュー盤です。もともとはケニー・ロギンスを売り出すことが目的で、レコード会社とプロデューサー契約をしていたジム・メッシーナが知恵を絞って作っていたら、デュオになってしまったというアルバムです。プロデューサーと歌手のバンドですから、日本で言えば、小室哲哉とケイコのグローブ、中村正人吉田美和のドリカム、奥田俊作川瀬智子ブリグリ、のようなバンドです。並べていると、ちょっと違うような気もしてきましたが。ただし、それは後から仕入れた知識でして、当時の自分は、ケニー・ロギンス主導のバンドだと思っていました。ホール&オーツとかワム!とか日本で言えばあみんとか、そういう種類です。ま、歌ばかりに注目する小・中学生ならではでしょう。ジム・メッシーナの方が当時は圧倒的な大物だったわけですから、全然違いました。プロデューサーと新人アーティストですから、まるで師弟関係のようなものだったのでしょう。この作品を音楽評論家の湯浅学氏はとても「奥床しい」と表現しています。サウンド面で心憎いばかりの工夫がこらしてあって、とても実験的な要素があるにもかかわらず、あくまでポップな土俵の上のことにとどめているところがとても奥床しいというわけです。

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確かにポップに間違いありませんが、全体の雰囲気はとても渋いです。曲もいいですし、サウンドは聴くたびに発見があります。カントリー風ではありますが、臭くありません。はつらつとしていますが落ち着いています。素敵です。「金はないけど、ぼくたちは愛し合ってる」という貧乏くさい「ダニーの歌」と、熊のプーさんを歌った「プー横丁の家」が二大代表曲です。前者は彼らがというよりもアン・マレーがカバーしてトップ10入りしました。「プー横丁の家」はケニーがニッティー・グリッティー・ダート・バンドに提供してヒットした曲です。「5人の子供たちそれぞれにこの歌を歌ってあげた。そして今は孫に歌ってあげている。」というコメントがユーチューブに上がっていました。そんな幸せな光景の似合う曲です。バック・バンドの面々は、当然プロデューサーのジミーが連れてきたと思われます。いわゆるロック・バンドに、ホーン奏者が二人起用されており、その一人アル・ガースはフィドルもこなしています。多彩な音の表情をもたらす編成です。メッシーナの音楽的な可能性追求がケニーのソロの枠に収まり切れなくなってのデュオ結成だったということでしょう。何とも素敵な師弟関係ではありませんか。とても嬉しそうな二人の姿が髣髴させられる気分のいい作品です。

参照:「嗚呼、名盤」湯浅学

🎦DANNY'S SONG LOGGINS AND MESSINA Live: Sittin In Again @ the Santa Barbara Bowl | RECORDED JULY 2005 - YouTube