昔からレインボウのアルバムと混同してしまうジャケットです。天翔けることが好きな人たちだなと思いますホント。今回のタイトルは嵐を呼ぶ男、日本ならば石原裕次郎というところでしょうか。第三期ディープ・パープル最後のスタジオ・アルバムとなってしまいました。だんだんお家騒動のサイクルが早まってきました。このアルバムを最後に、なんと大黒柱のリッチー・ブラックモアさんが脱退してしまいます。このアルバムの制作時期にはすでにリッチーはロニー・ジェイムス・ディオとレコーディングをするなどしており、彼の出番は少なくなっていました。そして、デヴィッドとグレンの新参組の嗜好が色濃く反映されています。そんなこんなで、当然、発表直後のメンバーによる評価は大変低く、メディアでの受けも芳しくはありませんでした。そのため、駄作扱いされることも多かったと記憶しています。しかし、バンド内のごたごたが遠い昔になった今、改めてこの作品を評価する声が大きいです。発表当時、ディープ・パープルらしさとは、すなわち「ハイウェイスター」や「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のことでしたから、このアルバムなどは、まさにパープルらしくない、と一刀両断されていたのかなと思います。つまり、「ハイウェイスター」が入っていないと怒っているようなものです。確かに、ソウル好きのデヴィッドとグレンが中心となった楽曲は様式美ハード・ロックとは世界観が違うように思えます。しかし、第一期からこれまでの振れ幅を考えると、このアルバムなどはパープルらしいとも言えます。~続⤵️
🎦Deep Purple: Stormbringer (live 1975) - YouTube
この頃、リッチーはルネッサンス期の音楽に目覚め、そんな音楽ばかりを聴いていたそうです。その成果が、アルバムのラストを飾る「幸運な兵士」です。デヴィッドの粘っこいボーカルが映える佳曲で、ルネッサンスの音階が使われているとのことです。それで、この曲はとても第一期っぽいんですよね。まさに「詩人タリエシンの世界」なんです。また、リッチーのギターが活躍する「嵐の女」は第二期っぽいです。そこに、「幸運の兵士」収録に反対するメンバーに妥協する形で導入されたソウル/ファンク・チューンが加わっているというキャリアを俯瞰する内容なんです。制作過程は結構ぐだぐだだったようですし、メンバーはバラバラだったようですが、もともとディープ・パープルはそういうバンドですし、そんな状態だからこそ、こういう味わい深いアルバムが出来るのが彼らの特徴であるともいえます。この当時、ブリティッシュ・ロック界の話題は税金でした。高額所得者への課税率が90%を越えていたため、多くのスターが海外に移住します。日本だとなかなかそうはなりませんが、ヨーロッパ人は国境を越えることに躊躇がありません。パープルの面々も海外に移住し、バラバラに拍車がかかりますが、それはまた次の話。これは、大作ではありませんが、素敵なパープル節を堪能できる作品だと思いますが、ど-でしょう…🤔
Stormbringer / Deep Purple (1974 Purple)