montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

グローヴァー・ワシントンJr.ワインライト (2015―7)

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f:id:montana_sf16:20231212125658j:image💿️Grover washington jr. wine light album - YouTube

グローヴァー・ワシントンJr.は1943年に生まれ、1971年にジャズの名門CTIレコードからデビューしたサックス奏者です。「ワインライト」はグローヴァーの名前を一躍世界にとどろかせた1980年の大ヒットアルバムです。突然のヒットでした。このアルバムは米国ジャズ・チャートでは連続して29週、通算すると31週間も1位の座を守ったスーパー・アルバムです。とはいえ、所詮はジャズ・チャートの出来事、ポップ・チャートでは5位どまりです。残念ながらやはりジャズはそこまで売れないんです。本作品がお茶の間をにぎわせたのはジャズ・チャートとは関係なく、シングル・カットされた「クリスタルの恋人たち」の大ヒットによるものです。ポップ・チャートでも2位となった名曲で、それこそ巷ではこの曲が流れ続けていたものです。原題は「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」、それが「クリスタルの恋人たち」となったのには、もちろん歌詞に♪クリスタル♪が出てくることもあるのですが、たまたま日本においては下地があったんですネ。ちょうどこの時期にセンセーションを巻き起こした田中康夫の「なんとなく、クリスタル」の影響が大きいです。「なんクリ」にはフュージョン、AOR系の名曲が小説中に登場しました。この曲は年代的には小説後なのですが、まさにそこに登場していてもおかしくない、ソウルフルでソフトでメロウなお洒落楽曲だったんです。クリスタルのイメージにぴったりです。「クリスタルの恋人たち」は当初はインストで演奏する予定だったそうですが、どうも全体にフィットしないとして、結局、思い切ってグラミー賞常連の歌手ビル・ウィザースのボーカルを入れて成功しました。~続⤵️

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 f:id:montana_sf16:20231212131145j:image🎦Grover Washington Jr「Just The Two Of Us 」クリスタルの恋人達 - YouTube

🎦Grover Washington Jr. - Winelight - YouTube

グローヴァー初の歌ものにして大ヒットです。これ以外の曲は完全インストです。しかし、ボーカルの代わりにグローヴァーのサックスが歌っています。この当時、「歌もののようなポップなアレンジをバックにサックスでメロディを歌うというアプローチは画期的」だったそうです。つまり、スムース・ジャズの誕生です。とはいえ、日本にはもっと前から「魅惑のテナー・ムード」などとして、演歌などの歌謡曲をサックスで歌った企画ものが存在しましたから、個人的にはごくごく自然に本作品を受け止めてました。今になって画期的だと聞いてむしろ驚きです。本作品の演奏陣はエリック・ゲイル、スティーヴ・ガッドリチャード・ティーのスタッフ組やマーカス・ミラーに「恋人は何処に」のラルフ・マクドナルドなど、当時のフュージョン作品にはお馴染みの顔ぶれで、みんなグローヴァーとは親しい間柄です。こうした仲間たちと「一緒に笑い、励まし合い、刺激し合った」アルバムは「とにかく聴いててハッピーだった」というグローヴァーの言葉通り、実に気持ちがいいです。ポップさに眉を顰める向きもあるのですが、この気持ちよさの前には無力でしょう。本作はグラミー賞2部門を獲得し、スムース・ジャズの元祖となりました。メロウかつソウルフルで、クールなラテン感覚をもったサウンドはポップ・チャートにもクロスオーヴァーして、真の意味でのフュージョンを達成しました。本当に気持ちのいい不朽の名盤です。

Winelight / Grover Washington, Jr. (1980 Elektra)