montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

チープ・トリック 天国の罠 (2022―2)

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💿️Heaven Tonight - YouTube

チープ・トリックの三作目「天国の罠」は1978年4月に発表されました。まさにこの4月に彼らの運命を変える日本武道館でのライヴが行われています。本国アメリカではさっぱり人気がなかったのに、日本では武道館を満員にしていた時期です。そのギャップに萌えます。前作からまた半年強で発表された第三作目です。プロデューサーは前作と同じくトム・ワーマンです。前作の軽めのサウンドには不満が残ったチープ・トリックの面々はワーマンとしっかり話し合ったのでしょう、本作品はデビュー作のワイルドさが戻ってきました。しかし、そこは単純に昔に戻ったわけではありません。セカンドのポップな路線もしっかり残しつつということですから、正反合の弁証法的展開です。要するにファーストとセカンドの良いところを合わせた作品になっており、多くの人が最高傑作にあげる出来栄えです。ジャケットはまたまた美形の二人をフロントに、お笑い担当の二人をバックカバーに配しています。リック・ニールセンは歯を磨いていますし、バーニー・カルロスはネクタイを直しています。そもそも後ろのカバーは洗面所が舞台です。徹底しています。このイメージ戦略はとりわけ日本で成功を収めます。日本でアメリカよりも先に火が着いたことは当然チープ・トリックにも伝わっていますから、自分たちの路線は間違っていないと大きな自信になったことでしょう。もちろん彼らの音楽も含めての話です。アルバムの冒頭は彼らの人気を決定づけた名曲「サレンダー」です。これまでのチープ・トリックの魅力を凝縮したキャッチーなメロディーでポップながらちょっとラフでハードな楽曲は1970年代のアメリカン・ロックを代表する名曲です。~続⤵️

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f:id:montana_sf16:20240424212519j:image🎦Cheap Trick - California Man & Surrender - 1978 TV - YouTube

甘いマスクで人気が出たロビン・ザンダーのボーカルは意外なほどに骨太で、決して甘くはないのですが、この「サレンダー」でのちょっと甘えたようなボーカルはこれまた萌えます。多くのロック・バンドがカバーしたのも分かります。カラオケ映えもします。この曲に典型的に表れているように、キーボードレスの典型的ロック仕様のバンドながら、本作品でのポップさを演出しているのはキーボードであり、シンセサイザーだったりします。ところがその塩梅が絶妙で、ギターを中心とするロックの魅力は全く損なわれていません。ブリティッシュ・ロックを研究したニールセンならではともいえます。その線では本作品にある唯一のカバー曲「カリフォルニア・マン」が光ります。しばしば比較されるブリティッシュ・ロックの鬼才ロイ・ウッドのザ・ムーヴの曲です。まるで違和感がありません。アルバムには重めのバラード「ヘヴン・トゥナイト」がチープ・トリックの作風に新たな風を吹き込んでいます。また♪サヨナラ♪が出てくる「サヨナラ、グッバイ」や♪こんにちは♪が飛び出す「オー・クレア」で日本への関心の高さも伺えます。飽きさせない仕掛け満載です。パンク/ニュー・ウェイブの時代でしたけども、その同時代感覚とロックの伝統に根差したサウンドが同居する最高に楽しいアルバムです。どうしてアメリカではさほど人気がでなかったのか、当時の日本の洋楽ファンは首をかしげていたものでした。。🤔

Heaven Tonight / Cheap Trick (1978 Epic)