montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

チープ・トリック 永遠の愛の炎 (2022―3)

f:id:montana_sf16:20240412215244j:image💿️Lap Of Luxury - YouTube

まさかまさか。チープ・トリックはシングル曲「永遠の愛の炎」で全米1位を獲得したのでした。まさに晴天の霹靂です。武道館を沸かせてから10年が経過し、久しく聞かなくなっていたチープ・トリックの名前が大きくクローズアップされたのです。驚きました。チープ・トリックの前作「ザ・ドクター」はレコード会社が横やりを入れて大失敗に終わりました。それに懲りたのかと思いきや、レーベル側はまだまだ手ぬるかったとばかりにさらに大々的に本作に介入しました。それが今度は大成功、ファンの胸中は複雑です。前作にはメンバーの反感をかったレーベル側が見つけてきたごり押し曲「キス・ミー・レッド」がありました。1曲だけでしたが、本作品ではほぼ全曲が「キス・ミー・レッド」になりました。リック・ニールセンを始め、メンバーには大きな葛藤が生じたことでしょう。原題は「ラップ・オブ・ラグジャリー」ですが、邦題は大ヒット曲の曲名を持ってきて「永遠の愛の炎」とされました。ファンも代替わりしており、この曲からチープ・トリックを知った人も多いことでしょうから、この邦題はレコード会社的には大正解です。複雑な思いを生じさせるアルバムですけども、オールド・ファンには嬉しい事件もありました。オリジナル・メンバーのトム・ピーターソンの復活です。これでオリジナルの四人組に戻りました。それでいきなり大ヒットというのはジョン・ブラントに申し訳ない気もします。プロデューサーはまたまた交代し、今回はリッチー・ズィトーが起用されました。~続⤵️

f:id:montana_sf16:20240412221234j:image f:id:montana_sf16:20240412221255j:image 
f:id:montana_sf16:20240412221329j:image f:id:montana_sf16:20240412221321j:image
 f:id:montana_sf16:20240412221310j:image🎦Cheap Trick - The Flame - YouTube

🎦Cheap Trick - Ghost Town (Official Video) - YouTube

彼はジョー・コッカーやエディ・マニーなどのアルバムをプロデュースしたり、日本のアニメ「プロジェクトA子」のスコアを書くなどの活躍をしていますが、代表作には本作品が上がることが多いです。ズィトーのプロデュースしたサウンドは前作のようないかにもヒット狙いではなく、比較的オーソドックスなハード・ポップ路線でまとまっています。どちらかというと黄金期のトム・ワーマンに近い気がします。奇をてらわずにチープ・トリックの魅力を素直に発揮させています。アルバムの内容ですが、全10曲のうち、メンバーだけで作曲した曲はわずかに1曲、「ネヴァー・ハド・ア・ロット・トゥ・ルーズ」のみです。ロビン・ザンダーとトム・ピーターソンの二人による曲で、シングル・カットもされてマイナー・ヒットを記録しています。その他はすべて外部ライターが関わっています。それも、エルヴィス・プレスリーの「冷たくしないで」を例外に、いずれも本作品が初出という意味で書下ろしに近いです。全米1位曲「永遠の愛の炎」も元アトミック・ルースターのニック・グラハムとボブ・ミッチェルの作品です。チープ・トリックの知名度、演奏力に期待したレーベル側の作戦は功を奏し、アルバム自体も全米16位となり、プラチナ・ディスクを獲得する大ヒットとなりました。「冷たくしないで」も全米4位です。チープ・トリックの表現力の高さが証明されたということでしょう。しかし、プロダクション主導の作品作りはまるで日本のポップス界のようです。バンドとしてはフラストレーションが高まったことでしょうが、大ヒットには逆らえません。いい曲ばかりですし、演奏もはつらつとしていたりして、もやもやが募るばかりのアルバムです。
Lap of Luxury / Cheap Trick (1988 Epic)