montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

スティーヴ・ハウ ビギニングス (2011―10)

f:id:montana_sf16:20240407221013j:image💿️Beginnings - YouTube

エスは「リレイヤー」を引っ提げたツアーを敢行した後、しばらく活動を休止します。その間、申し合わせもあったのでしょう、メンバーそれぞれがソロ・アルバムを制作します。多分にソロでも大成功を収めている脱退したリック・ウェイクマンへの対抗心もあったことでしょう。その第一弾となったのがスティーヴ・ハウの「ビギニングス」でした。ハウはイエス加入以前にもトゥモロウやボダストなどなど、さまざまなバンドに在籍してレコードを残していますし、そもそもリード・ギタリストですから、まずは順当といえるでしょう。ハウのソロ・アルバムに関しては、早くから話だけはあったそうで、ハウ自身もそれに備えて次第にデモを作ってはカタログ化していました。それらの一部はイエスの楽曲にも使われたそうです。ともあれ、こうしてソロ・アルバムの準備は万端整っていたわけです。アルバム作りはまず、中世の音楽を標榜するプログレ・バンド、グリフォンのメンバーを招いたセッションから始まります。これが3曲目の「遥かなる海」です。海をめぐるさまざまな状況を演奏だけで描いた曲だそうで、中世の雰囲気が少し漂う小粋な曲です。続いてドラムこそがレコードの土台になるという信念から、ハウはドラマーとの共演を模索します。最初に呼ばれたのはイエス仲間のアラン・ホワイトで、ホワイトとのセッションからは4曲が収録されています。うち2曲はホワイトとハウのデュオです。さらにドラマー・シリーズとして元イエスのビル・ブルーフォードと同様の形で2曲を制作しています。 ~続⤵️

f:id:montana_sf16:20240408124722j:image f:id:montana_sf16:20240408124742j:image f:id:montana_sf16:20240408124806j:image f:id:montana_sf16:20240408124851j:image
 f:id:montana_sf16:20240408124827j:image🎦Steve Howe Beginnings - YouTube

ここでも うち1曲はブルーフォードとハウのデュオです。これらのデュオではハウはギターに加えてベースやボーカルなども担当しています。これらの曲でベースをハウ自らが担当するのはドラマーの自由度を高くするためなのだそうで、ハウが日頃からどのようにドラムを捉えていたかが分かるというものです。バンドの作品では実験できないソロ・アルバムならではの趣向です。タイトル曲は収録曲中最も長い曲で、作品中唯一オーケストレーションが施されています。ここではイエス仲間のパトリック・モラーツがアレンジを担当しています。自分の力に余ると判断したハウがモラーツに依頼したもので、素直なハウらしさが表れています。「ラム」1曲だけはハウ一人で全てを演奏していますけども、アルバム全体にギターを前面に押し出そうという空気はありません。さまざまな形のセッションの中でギターが渋く光る、そんなサウンドが展開されています。ハウの人柄そのままです。しかも大半の曲でハウはボーカルを披露しています。ジョン・アンダーソンがいかに凄いボーカリストであるかを知らしめる素人くささですが、このアルバムには結構ぴったりです。もとになったデモのカタログっぽい雰囲気が濃厚だからです。ジャケットにはしっかりとロジャー・ディーンが起用されています。そのかいもあって英米ではきっちりとヒット・チャートに顔を出すヒットになりました。ハウらしい、暑苦しくないさわやかなサウンドは清涼な魅力を発揮しており、とにかく気持ちがいいです。

Beginnings / Steve Howe (1975 Atlantic)