💿️Bow Wow Wow - see jungle! see jungle! go join your gang yeah, city all over! go ape crazy! - YouTube
ジャケット写真は有名なマネの「草上の昼食」を模したものです。撮影者はまだ学生だったアンディ・アール、場所は彼によるロケハンで英国サリー州ライゲートに決まりました。発案はもちろん英国パンクの仕掛け人マルコム・マクラレンです。衣装は同じくパンクの立役者ヴィヴィアン・ウェストウッドです。可哀想なのは事前に何も知らされてなかった15歳のアナベラちゃんです。半ばマルコムに脅されて裸にされたわけですから、後にお母さんが激しく抗議したのも分かります。アナベラはミャンマー人の父と英国人の母を持つ女の子で、当時クリーニング屋で働いていたところをスカウトされてオーディションを受け、バンドのボーカリストに収まりました。ロックのことを何も知らず、何でもない普通の若い女の子だから採用したとマルコムが語っています。バウ・ワウ・ワウはマルコムが仕掛けたバンドです。バンド・メンバーは彼が当時手掛けていたアダム・アントのバンドから引き抜いた3人にアナベラを加えた4人です。ですからどうしてもマルコム中心に語られてしまうバンドです。彼らは最初カセット・テープでデビュー作を発表します。片面がブランクで何でも録音できるようになっていたそうですから面白いコンセプトです。そして、この作品がレコードによるデビュー作です。派手なジャケットが話題を呼びましたがサウンドも面白いものでした。
🎦Bow Wow Wow /Chihuahua - YouTube
🎦Bow Wow Wow Live Sefton Park 07/09/82 - YouTube
当時、英国のニュー・ウェイブ界ではブルンジの民族音楽のドラムを使った「ブルンジ・ブラック」なるアルバムがヒットしていました。アフリカのドラムにしてはシンプルなこのドラムのパターンはとても新鮮なものでした。バウ・ワウ・ワウのデイヴ・バルバロッサはこのブルンジのドラムにもろに影響を受けた手数の多いドラムを叩いています。これを軸に、リー・ゴーマンのチョッパーばりばりベースに、サーフィンっぽいマシュー・アッシュマンのギターでサウンドが成り立っています。そこにど素人がゆえのキュートさが光るアナベラの叫ぶような可愛らしいボーカルが、ポップなメロディーを歌うという、言ってみればハチャメチャな組み合わせのサウンドが彼らの持ち味です。彼女を選んだのはマルコムの慧眼でした。やたらと達者な演奏陣はアナベラに我慢がならなかったそうですけれども、アナベラの魅力がなければ、彼らはマルコムの操り人形のようになってしまっていたでしょう。モヒカン・ヘアも含めて十代の女の子の代弁者としてスターのオーラを放っていましたから。後のジャングルとは関係ありませんが、彼らのビートはジャングル・ビートと呼ばれました。「ジャングル・ビート、エスノ・ファンク、ダブなどが織り込まれたトロピカルなニュー・ウェイブ・サウンド」と形容されるサウンドです。コンセプト先行型のバンドでしたけれども、その繰り出したサウンドはとても魅力的でした。しかし、どうしても作られたバンドであることは否めず、こんなに素晴らしいサウンドなのに、成功は長続きしませんでした。大変残念です。
See Jungle! See Jungle! Go Join Your Gang Yeah! City All Over, Go Ape Crazy / Bow Wow Wow (1981 RCA)
参照:The 100 Greatest Rock'n' Roll Photographs (Q)